大学生の頃、高円寺や吉祥寺や中野という町に強く憧れていた。福岡に住んでいたのであまり東京に出ることはなかったのだが、雑誌や映画などでたまに見かけるその中央線沿線のその町は、なんだか湿っていてちょっと侘びしくてごちゃごちゃしててサブカルでとても魅力的だった。もし私が東京に出て来たらここに住む!といった空想妄想ではいつもやはり中央線沿線だった。
そんな高円寺にある円盤というお店は今も私の大好きなお店。今日は円盤でのライブ。
サウンドチェクが終わったくらいにパルコのK氏が差し入れを持って遊びにきてくれたのでこれ幸いと思い、行きたかった「ネルケン」に付き合ってもらった。
高円寺の町をぶらぶら探していたら思いもよらないところにいきなり出現。
アーケードのごちゃごちゃした雰囲気とは対照的に息を潜めて建っていた。すごく近いのに。
店内はクラシックが流れ外の空気とは明らかに時代が違った。
赤いベルベットの居心地の良さそうなシートに、絶妙な形のテーブル、席を隔てるための黒いオブジェのような木の棒。自然に背筋がのびる。でも嫌な感じは全くしない。
広いわけでもない店内には一人のママさんがおりとてもとても上品だ。こういう方を
「品がある」というのだろう。お店の中の風景としてママもいた。
絵画やオブジェも嫌みでない数だけそこにある。
注文してから15分くらいしてから出て来たコーヒー。450円。
苦くなく薄くなく風味もほどほどアクもなくいい味。
アイスコーヒー。500円。
多分注文をきいてからきっちりと煎れているとおもわれる味。それって普通じゃん、と思うかもしれないけど案外作り置きですませているところの多いこと。そういうアイスコーヒーは風味が落ちる愛情がない味。ネルケンのはまたもや上品な味がしました。
明るくない店内で落ち着いて飲むこの時間は本当に贅沢。カウンターに座ってママを独り占めしたいと思ってしまう。
ツアーももう少し。東京は今日で最後。昨日の撮影今日のライブ。
どんな映像になったか楽しみだな〜